【光世side】

「お前、何考えてんの?」

「・・・」

オレに背を向けたまま、誠が問いかけた。


「彼女が倒れるくらい無理してんのに、何で気づかねえの?」

「・・・」

それに対し反論する言葉も、言い訳する言葉も見つからなかった。


「美穂を大切にできねぇなら、別れちまえ」

「誠に言われる筋合いはない」

それを言うのが精一杯だった。

明らかに落ち度はオレにある。こんなに無理させて、

気づかなかったオレに非がある。


でも、誠には言われたくなかった。別れろなんて。


「オレの方が、美穂を幸せにしてやれる」

「…誠、お前」



「ちょっとした体調の変化にも気づいてやれる。

美穂の為なら、無理させないように、仕事とプライベートだって、

しっかり分けれる…これって、常識だろ?」


「・・・お前に何がわかる?

上に立つ人間の気持ちが。…まだ上に上がろうとしてる人間の気持ちが。

今頑張れば、美穂を堂々と彼女だって言える。

彼女なんてもんじゃない、オレの妻にだって出来る、言えるんだ」