* * *
冷たく黒い机に寝そべるように彼は横になっていた。
午後5時半を回ったところだ。
「冷たくて気持ち良さそうですね」
「かなりね。紺野さんもどう?」
「遠慮しておきます、私冷え性なので」
冷たくそう答えると、彼ーーーーーーー山本 航(理科•自然分野担当教師)は拗ねたように机から降りた。
「そ。…ね、紺野さん。おいで」
嫌です。心の中では即答できているのに、口に出せない自分が嫌になる。
「…おいで?」
その癪なくらい温かい言葉に背中を押されたのか、数メートル離れた所へと足を運ぶ。
「よしよし。紺野さん、流石です」
「私は犬ですか?」
「いいえ?私のお気に入りです」
「では植物の間違いでしょうか」
「そうとも言えますね」
にこやかに微笑む彼の笑顔にまた、心がぽわんとなる。
「紺野さん。キス、しよっか」
「ここは学校ですよ」
「だいじょーぶ、ここには滅多に人は来ないよ」
「そ、ゆ、問題じゃなーーーーーー」
その言葉を掻き消すように、我慢できなくなった様な山本さんは噛み付くように私の唇を啄んだ。