悪いけど私はこの人とあまり関わりたくない。だって先輩めっちゃモテるんだもん。
今だって周りの女子にめっちゃ睨まれてるし。
「おい、雛乃。じゃあお前俺の女になれよ」
「………」
また変なこと言ってるし。無視しよう。
「おい、聞いてんのかー?」
「先輩、練習に集中できないのであっちいってください」
「練習なら俺が教えてや「いらないです」る…」
あ、しゅんとしてる。落ち込んでんのかな。…なんかかわいい。
「…また今度教えてください」
そう言うとさっきまで落ち込んでいたのが嘘のように元気になる。
「やった!じゃあ約束な!」
「はい」
先輩…嬉しそう。なんだかこっちまで嬉しくなってきちゃった。
「ゆーうせいっ!!」
「うわっ!実玖かよー」
今先輩に抱きついている人は弓道部のマネージャー。五十嵐実玖先輩。たぶんこの人は、いや絶対先輩のこと好きだな。
私はこの人に超嫌われている。だから、退散します、はい。
「先輩、じゃあまた今度」
「おうっ!約束だぞ!」


ギロッ


めっちゃ睨まれた…。
そして、今日の部活は終わった。