「佐藤さん!ちょっといいですか?」

私は笑顔で佐藤さんを呼んだ。きっと目は笑ってないだろうけど…


廊下に出て問いただす。


「キスシーンってどういうことですか?」

「だって言ったら美緒ちゃん来なかっただろ?」

悪びれもせず佐藤さんは言う。

「当たり前じゃないですか!!」

「いいじゃんキスの1つや2つ。減るもんでもないしまさかファーストキスってわけでもないだろ?」

「なっ…そういう問題じゃないですよね!?」

それにファーストキスだっての。経験なくて悪かったね。言ってやりたいけど我慢する。


「これは茜ちゃんのため「私茜じゃない!!」



気付いたら私は怒鳴っていた。


最悪だ。


「…とにかくここまで来た以上どうしようもないから」

佐藤さんはそう言って去っていった。