「……そ、うだよね……っ
急にごめんね」



その子に泣き顔をみられたくなくて
あたしは走り出した。



…いや、走り出そうとした。
でも、無理だったの。



…その子があたしの腕を
つかんでいたから。



「…っ!?」

「雪、降ってるでしょ。
これ、使って」



頭にかけられたタオル。
君の匂いがした。



「そ、んな…っ」

「いいって、気にすんな」


あたしの腕を離して、
雪の中走り去ってゆく君。