「あ、もうこんな時間っ、
あたし、行かなきゃ」
「え、どこに?」
「バイト!始めたんだ」
「バイト?なんのバイト?」
たぶん、油断すると…
「ここのお店と同じ系列の
ファミレスだよ」
「…そっか」
「じゃあね、ありがとう」
塚永はだーっと片づけると
颯爽にファミレスから出ていった。
…ほら、油断するとこうなる。
彼女になってからは、
塚永が好きで好きでたまらない。
いつだってそばに置いときたい。
だけどそんなこというと
俺が重い男みたいに思われるから
口にしない。できない。
塚永に引かれるのが1番怖い。
「男もいんのかな」
…いるよな、きっと。
ここの店も男の店員いるし。
かといって、
バイトするなとも言えない。
こんな卑怯な俺を、
君はなんていう?