「そ、それ言っちゃったら
好きな子のことばれちゃうじゃん」
「うん、で、誰?」
「は、はい?」
「まさか塚永を振る男がいるとはな…」
「えぇ?」
ブツブツ1人で何かを言っている原谷くん。
…この人、少し話せば
無愛想、とかいうイメージ
すぐ壊れる(笑)
確かに教室では
ムスっとしてたけど、
今は全然そんな感じじゃない。
「誰にも言わないから」
「ほんとに?」
「約束する」
「……っ」
原谷くんの耳元に近づいて
あたしは林田くんの名前を口にした。
この光景を、
あの人に見られてるなんて
この時あたしも原谷くんも、
思ってもいなかった…。