「…複雑骨折だったんだ」
「え…」
「相手チームの奴に
足を引っ掛けられて
バランス崩してそのまま転倒。
足に痛みを覚えて
そのまま病院にいった。
そしたら、骨折って…」
「…」
「たぶん大きなけがって言うから
もっと酷いことを
想像したんだよな、塚永は」
「え…?」
「なんかそんな感じがした」
「…う、ん」
複雑骨折も酷いけがだと思う。
あたしは骨折したことないから
よくわからないけど、
きっとサッカーしたくて
たまらなかったんだよね…。
でも、怪我のせいで
原谷くんはサッカーが怖くなった。
隣に座る谷原くんの顔を
横から盗み見ると
その表情は涙をこらえていた。
「……俺、なにいってんだろ」