「サッカー、続けないの?」
「……」
「原谷くん」
「……続けたいよ、俺だって」
「…」
「でも、無理なんだ…。
もう足だって治ってる。
だけど、ボールを前にすると
怪我のことを思い出して
怖くなるんだ…」
「…」
「小さい頃から
サッカーしかやってこなかったから、
俺はサッカーしか取り柄がない」
「…」
「その取り柄ももうないんだ…。
自分で言うのもなんだが
俺は期待されていた。
でも、あの時……っ」
原谷くんは
そのまま言葉を失った。
あたしは何て言ったらいいのか分からず
ただ下を向いてるだけ。