原谷くんは、
グラウンドを見ていて
なぜかその表情は
辛そうで悲しそうだった。
…そういえば、
サッカーやってて
大きな事故をしたって
拓弥くんがいってた……。
あたしは鞄をその場に置いたまま
原谷くんに向かって走り出した。
「原谷くん」
「…わ、あんたか」
「どうしたの?」
「いや…」
「何かあったんじゃないの?」
「別に」
心をひらかない原谷くん。
そ、そりゃ転校してすぐに
心なんて開かないよね……。
「えっと…名前…」
「あ、塚永。塚永杏奈」
「塚永、ちょっといい?」
何とも言えない表情に
あたしはただうなづいた。