【Side GIRL】
あれから、何年経つだろう…
武人を好きになってから、もう10年くらいは経っているはず…
「瑠菜、急がないと遅刻するぞ!」
そう言っているのは幼馴染みの風野 武人(かぜの たけと)、私のずっと好きな人。
私は柊 瑠菜(ひいらぎ るな)、姫丘(ききゅう)学園に通う高校1年生。武人は隣の堂宝(とうほう)学園に通っている。お互いに共学ではないので、何かあると2つの学園共同で行事が行われる。
そういえば、武人は遅刻するって言ってたな…
ん? 遅刻!?
今、何時だろう?
時計をみると8時45分。明らかに寝坊だ。
たしか今日は姫丘学園の入学式だったはず。
遅れたら確実に大変だ!
私は急いで支度をする。
制服に着替えるのに25秒、朝食を食べるのに30秒、髪とメイクに65秒、計120秒。
ピッタリ2分だ。
「行ってきまーす!」
家を出ると、武人が待っていた。
「遅いぞ。早くしろ、俺まで遅れる。」
私たちは中学生のときからいつも一緒に通学している。
学園が隣なのと家が隣なのが理由だ。
瑠菜は1人でも大丈夫といつも言っているのだが、瑠菜の両親が「瑠菜が女の子だから1人では危ない」と武人にお願いして一緒に通学しているというのもある。
瑠菜にとっては余計なお世話だと思っていたが
1度だけ1人で通学したときに痴漢に遭い、武人に助けてもらってから1人での通学はやめようと思い、それからは武人とずっと一緒にしている。
「瑠菜、降りるぞ」
どうやら、もう学園のある駅周辺に到着したみたいだ。