朝倉は嫌味を言い終えたかと思えば、鞄のポケットから写真を数枚取り出し、机の上に並べ始めた。
言うまでもなく、どれも羽柴の写真であるが、全て女子が喜びそうな写真でないことは分かった。
中には見覚えのあるものも何枚かある。
浮気写真や、ホテルの前での写真など。
合計10枚以上はあるそれを朝倉は一枚ずつ手に取り、眺め始めた。


「これ、羽柴くんだったら一枚いくらで買ってくれるかな」


また、恐ろしいことを考えるやつだ。
ただ者ではないというのは分かっていたが、まさかこれほどとは。
不覚にも少し、鳥肌が立った。


「脅して、買わせるっていうのか?」

「うん、そのほうが写真そのままばらまくよりずっと賢いんじゃないかって僕、気付いたんだ、金が手に入るだけじゃなく、清々もするだろう?」


そう言って、一番の目的はどうせ金なのだろう。
ばらまくという話が出たときには、あれほどテンション下がってたくせに、何なのだ、この変わりようは。

逆に、こいつの将来が心配になってきた。
ギャンブルとかに手を出したら、確実に破滅するタイプじゃないか、こういうのって。
何も言えず適当に頷くと、「高く売れたらその金で一緒に焼肉でも行こうよ、荻野目くん」と朝倉はまたも笑った。
いい加減、こいつの友達やめようと俺は静かに思った。