「それに、お前だって後悔するだろ、それじゃ」


俯いた萌のつむじに話し掛ける。
頬は、つねったまま。
勿論そんなに力は加えてないつもりだ。


「私は、あんたに後悔させるために、あんたよりもっと良い男と付き合うんだから、これでいいの」

「無駄だと思うんだけど」

「無駄なんかじゃない」

「だって、俺の他に・・いないだろ」

「羽柴くん」

「ふざけるな」


摘まんでた手を離す。
温かい頬の熱が、指先に移ったような気がした。

俺のこと、好きなのかよ。
馬鹿はどっちだ、馬鹿。

でも俺には自信がある。
萌の前に、これから先、俺以上に不器用で、鈍感で、馬鹿で、最低で、最高な男は現れないって。
なんか、自信が沸いた。
よく分からない、自信が。