急用なんて嘘だ

ただ一人になって

泣きたかっただけ

私の本当の恋は

叶うはずもなかった

そもそも何で

実の兄を好きになったんだろう

何でこんな苦しい恋を

諦めきれないんだろう

そう思うと

また涙が出てくる

恋なんてしない方がよかった

でもそう思っても

私は一夜が好きなの

ホントどうかしてるよね。私

この気持ちが兄妹の

好きって

気づいたのは

今から4年前の

中学1年生のころからだ

だいたい皆は

兄妹の悪口しか言わない

でも

私は一夜の悪いところなんて

知らなかった

考えたこともなかった

その時に思った

『私は一夜に恋してるって』









― 一夜 ―

今日まさか

双葉たちも同じところに

来てたなんて思いもしなかった

俺はもう我慢が出来なかった

言おう

双葉に好きだって言おう


コンコン

「双葉今いい?」

「…」

「開けるぞ」

「何?」

「ここ向けよ」

「嫌」

「なんで怒ってるんだよ」

「怒ってないもん」

「まぁいい」

「何の用よ」

「双葉好きだ」

「へ…」

「兄妹の好きじゃない。男女の好きなんだ」









―双葉―

え?

今私一夜に

告白されたの

涙が出てきた

「双葉…ゴメン嫌だよな。」

「…がう。」

「え?」

「違う」

「え?」

「嫌じゃない。私も一夜のこと好きだった」

「ほんとか」

私はうなずいた

そして

私たちは抱き合って

キスをした

泣きながら

もう仲良かったただの

兄妹じゃない

私たちは

兄妹が越えてはいけない線を

越えてしまったのだ…

もう後戻りはできない