友達だ!


部活からの帰り。私はルナをおいて走って帰った。もしかしたらいるかもしれないと思ったからだ。
いつもの細い路地を見るとやっぱりいた。


「柊!」


「おう。キサキ偶然だな...」


何が偶然なんだろう。


「絶対待ってたよね?」


「はぁ...?待ってねぇよ...」


嘘つき...。絶対待ってたよ。まぁいいとしよう。


「なぁ隣、座れよ」


「あ、うん」


私は柊の隣に座った。


「先輩がね。柊の事、問題児だって言ってた」


「あぁ、そう」


え?反応なし?抵抗もなし?


「よく言われたよ。生徒会から。お前は問題児だから生徒には近づくなぁってね。俺もいち生徒なのにな」


可哀想だった。柊自身も問題児ということを認めていた。


「ねぇ、なんで問題児って言われてるの?」


これは私がちょっと思ったことだった。柊が何故問題児と言われているのか。何故そこまで嫌われているのかということが私には疑問だった。


「さぁ?俺が不良だからじゃねーの?テストの時だけ学力あげようとしてるようだし。ただの道具としか思ってねぇんだよ」


ん?テストの時だけ学力あげよう?なんかすっごい引っかかるんですけど。


「え?柊ってテストの点数いいの?」


「は?知んねーよ。いつも学年一位って教師は言ってくっけど。点数なんてきいたことねーよ...」


ま・じ・か・!


こいつは私より頭がいいというのか!!ショックだ...。前は最下位独走中と思ってたのに...!


「むっちゃいいじゃん!!」


「いきなり大声だすなよ!バカ!」


「あ、ごめん...」


うわぁ...。今までバカにしていたことを謝りたいぃぃ...!!


「まぁ、これからも学校行く気はねーし」


柊はそう言った。でも、私はこのままじゃ嫌なような気がした。


「このままで本当にいいの?柊は問題児あつかいのままだよ?何があったのかしらないけど、学校来なよ!私一緒にいるよ?」


「いいよ...。俺の近くにいてもお前が嫌われるだけだぜ?」


うっ...でも、


「そんなことないし!勝手にそんなこと思わないで!!絶対そうならない!嫌われてもいいし!てか、柊も私の大切な友達だし!!」


柊は驚いた顔をしていた。でも、私が言わないと柊はこのままかもしれない。そう思うと何かせずにはいられなかった。
それから柊は笑って、


「そっか...。そっか...。本当お前変わってんな。こんな俺を友達って言ってくれんのお前ぐらいだわ」


柊は立ち上がって私の頭に手を置いてこう言った。


「ありがとよ...。来てみるわ。学校。じゃあな...」


柊は帰って行った。
は!じゃ、じゃあ柊は明日学校に来てくれるの!?私、説得できた!?
私は一人で喜びながら帰った。
帰りながら周りの人に変な目で見られたことは言うまでもない。