柊の気持ち


ピーンポーン




柊の家のインターホンをならす。




『.....はい?どちら様ですか?』




柊の声だ。




「柊。私だよ?妃だよ?」




『.....なんでいんだよ?』




インターホンからは柊の暗い声が聞こえる。




私は戸惑った。




「いや、な、何でって....。その、えっと.....」




『ようがないなら帰れよ』




くっ.....。




そうとう怒っているようだ。でも、ここで引き下がる訳にはいかない。




「話したいことがあってきたの!」




『俺はねぇよ!!』




柊からのトゲがある声。私は驚いてしまった。




『わりぃ....』




「あ、ううん。私が悪いよ。でも、話をきいて?」




しばらくの沈黙。




『.....わかった.......』




そう言ってしばらくして柊が出てきた。




「とりあえず入れよ....」




「あ、うん」




気まずい雰囲気の中、私は柊の部屋にお邪魔した。そして、柊はあぐらをかきながら座った。その前に私も座る。




気まずい雰囲気の中で最初に口を開いたのは柊だった。




「話ってなんだよ....」




怖い声色だ。でも、私は焦りを見せずにこう言った。




「あのね。前の話だけど」




「あぁ....」




「あの時、関係ないって言ってごめん」




「あぁ....」




「でも、あの話をしたら私はそれに対しての思いが軽くなる気がするの.....。だから....」




私の声をさえぎって柊が言った。




「俺ら友達じゃなかったのかよ!」




あっけにとれられた私を無視して柊は続ける。




「俺さぁ....。この気持ちがわかんねぇんだよ....」




「この気持ちって....?」




私がこう言うと柊は静かに続ける。




「多分この気持ちはあれであってんだ。お前が困っている時は本当に何かしてやりたい。助けたい。お前が俺にしてくれたように....」




そして柊はさらに続ける。




「俺....多分さ.....恋してるんだと思う.....。お前に.....」




衝撃的だった。全然話についていけなくなっていた。




「柊....」




「でも、俺好かれてないんだな.....。話もしてくんねぇし....。だからさ.....」




柊がいきなり立って素早く私は抱きしめられた。




「絶対好きにさせる.....」




私の鼓動早くなる。柊ってこんなタイプだったっけ!?こんな積極的なタイプだった!?




私は顔を真っ赤にさせているのが鏡を見なくともわかった。




私は恥ずかしくなり柊を突き飛ばしていた。そしてこう告げた。




「ご、ごめん。私帰るじゃあ!!」




私は柊の家を飛び出した。




(なんなの....急に....絶対好きになんかなんないし....!!)




そう思いながら家に帰った。