くだらなかった





私は保健室で鼻血を止めるのに必死になっていた。


あぁあ!なんで止まらないの!?漫画で鼻血ってありなの!?無しだよね!?無しに決まってるよね!?


そんなことを思っていると段々と鼻血が止まってきた。保健室の先生からは止まったら座って安静にしときなさいと言われたのでおとなしく座ることにした。
ふぅ〜止まってよかったぁ。もうあの人たちには関わらないようにしよう。最初から先輩のいうこときいとけばよかった...。


「よう...」


柊が保健室に入ってきた。さっき心に決めたばっかりだったのに何できた...。タイミングが悪い奴...。


「...何のよう?」


さっき当てられたばっかりだったからちょっと怒りっぽい言い方になった。だって、本当に怒ってるし...。


「あのさ...。ご、ごめん...本当は時雨に当てるつもりだったんだ...。そしたらコントロールミスってお前に当たった」


柊は謝ってきたけど、私はまだイライラしている。どう対応していいのかわからない。


「俺の事さすがのお前も嫌いになったよな。ごめん。初日からこんなことしてよ。クラスでもやっぱみんなよって来ようともしなかった...。お前がいるから来ようと思ったのにな。やっぱ俺には無理だった...」


「柊...」


さっきまで怒っていたけど、私はとてもくだらないことで怒っていたということがわかった。柊は今まで大変だったんだろう。それに比べたら私はまだマシのほうかもしれない。


「柊。ごめん。怒りすぎた...」


「何でお前が謝んの?悪いのは俺だろ?もう、お前の前に現れないから...。じゃあな」


柊はそう言って出て行った。柊がいなくなる?待ってよ...。何で?柊は漫画当てただけじゃん...。これくらいで会えなくなるの?嫌だ...嫌だよ...!


「妃ちゃん!ごめん!って何で泣いてんの!?」


「え?」


時雨君が入ってきた。時雨君が言ったように私は泣いていたようだ。顔をさすると水滴が手についている。あぁ、私泣いてるんだ...。


「ねぇ、時雨君。柊がさ、さっき謝ってもう私の前に現れないって言ってきたんだ。そしたら、なんか涙が出てきて...」


時雨君は私の所まで来て座ってこう言った。


「涙が出たってことは寂しいって思ってんじゃないの?だから、涙が出てくるんだよ」


あ、私寂しいって思ってるのか...。今までいろいろあったけどそれをふまえて楽しいと思っていたのかもしれない。


「やだ...やだよ!会えなくなるなんて!」


私は保健室をとびだした。
時雨君が出て行く私を見て、


「頑張って!!」


と言ってくれた。


「ありがとう!!」


私はそう言って走った。
柊を無我夢中で探す。もう校舎内にはいないようだったようだった。校舎の外に出てみると柊が鞄を持って帰ろうかしている所だった。


「柊!ちょっと待って!!」


柊は気づいているのか気づいていないのかわからないけど止まってくれない。
私は柊の前に走って行き、両手を広げて、


「待って!!」


柊はやっと止まってくれた。


「なんだよ...。もう現れないって言ったじゃんか。お前もう俺のこと嫌いになったんだろう?」


「なってない!なってないよ!柊の友達だもん!私!!」


柊は驚いた顔をした。


「だから、学校戻ろう!!一緒に行こう!!ほら!」


私は柊の手を引いて校舎に戻った。戻る最中に柊が


「ありがとな...俺...」


「ん?最後何て行ったの?」


俺の後が聞き取れなかった。けれど柊は、


「聞こえてねぇんならいいよ...」


柊はそう言った。なんだったんだろう?私は気にせずに教室まで向かった。