「羨ましいけどなぁ。女としては」



萌はそう言うけど、私はこんな仕事してて何だけど、この胸がずっとコンプレックス。

みんなより少し大きいってだけで男子にはからかわれるし、知らない人にもジロジロ見られたり。


小さくなれるもんならなりたい。
なんて言うと萌にかなり怒られるんだけど。




「萌もこんなの買わなくていいよ?恥ずかしいでしょ」



普通に恥ずかしいと思うんだけど…
いくら親友だからってそこまでしなくてもいいのに。



「何言ってんの?大好きな親友の初表紙だよ?そうでなくても、こういう雑誌に載ってるってすごい自慢になるんだから」



萌は本当に優しいし、すごい友達思い。
私はそんな萌が大好き。




「おはよ」



と、そこに眠そうに挨拶をしてきたのは琢磨。




私の隣の席で、私の幼馴染。




「あ!たっくん!おはよ♡」



と、さっきまでより声が高くなる萌。


「おはよ、萌」



と、愛おしそうに笑う琢磨の顔。


その二人の姿を見ると、微笑ましくて、胸が痛い。




「たっくん、見て?遥の初表紙♪」



と、私が持っていた雑誌をサッと取り琢磨に見せる萌。
琢磨はそれを見て、私に視線をうつす。



「やっぱすげーなぁ。高校生とは思えないよ、そのでかさ」




からかうように言ってくる琢磨。



「うっさいなぁ。変な目で見ないでよ?」



そう言うと、萌が笑う。



「そうだよ?たっくんはエロいからな〜心配」



と、琢磨の腕を握る萌。




そんな萌の頭をポンポンっと軽く叩く琢磨。


「心配すんなよ〜俺と遥は幼馴染。エロい目で見ねぇって」



その言葉がさらに私の心をえぐった。

ただの幼馴染。
琢磨からして私はそう、ただの幼馴染なのだ。





でも、私はただの幼馴染だなんて思ってない。


琢磨のことを男として、好きなのに。







ずっとずっと、小さい頃から好きな人。
なのに、琢磨が好きなのは私の親友。


萌が去年琢磨に告白したのだ。
突然だった。
私は何にも知らなくて、萌が琢磨を好きだったなんて。

もちろん萌も私が琢磨を好きだってことを知らない。



2人が付き合うと聞いた時は笑顔でおめでとうと言ったけど、心の中では泣いていた。




叶わない恋。