てっきりあんな小テストで

赤点とるなんて私だけだと思ってた



…ほぼその通り

小さな教室には

私と葉月蓮の2人だけ。



驚いて固まっている私の後ろのドアが開いて

先生が入ってきた。


「何ぼーっとしてんだ?早く席つけー。

ほら、葉月蓮も起きろ!」


バシッと先生に背中を叩かれる

葉月蓮。



「あへっ?」



寝ぼけ眼で驚く姿が可愛くて


「ふふっ…」


思わず、笑ってしまった。



「…?」



キョトン、とした顔でこっちを見る彼。


あ、やばいっ。

何この女笑ってんだって思われ…



「舞奈ちゃんだーあ!

一緒に補講?

よろしくねーえ!」



私が近くで見たいとずっと願っていた

あのとびっきりの笑顔。


それが今、私に向けられている?



て、ゆーか…


「私の名前…覚えてたの?」



「こーら。ちゃっちゃと補講やるぞ!

お喋りはそこまで!」


先生に遮られた会話

私は筆箱とノートを机に広げ

席をつく




だけどまだ

胸のどきどきは収まらない。




ちらっと彼の方を向いたけど

彼は眠そうに大きなあくびをかましていた。