ーーーーピピピッ






軽快な目覚まし時計の音で目を覚ます。






「あぁ~、やっぱり目腫れてる…」




昨日は、翔平くんとの思い出に浸っていた。






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「なぁ…大丈夫?」


「……だぃ………じょぅ……ぶ…で…す…」


中学校の入学式の日に保健室の前で座り込んでいた私に、声をかけてきた人……

私は、必死に言葉を振り絞り、大丈夫と言った


その瞬間、急に体がフワッと宙に浮いた


「どう見ても、大丈夫じゃねぇーだろ…」


私の記憶はそこで途切れてたの…


「…………ん………………」


見慣れない真っ白な天井が目に映る。


どこ…?






あ、そういえば



頭がクラクラして保健室の前に座り込んでたんだ…




そういえばどうやって、ベッドに行ったんだっけ…?



「………んん~……思い出せない……」




ふっ、と時計に目をやると5時半をまわっていた…



「やば!早く帰らなきゃ!」






ーー次の日


教室に入ると椿が抱きついてきた…



「にいな~!昨日寂しかったんだからね~?」



「ああ~ごめんごめん!」


そんなやりとりをしている間も、
椿は男子の注目の的だった。



やっぱ、椿はもてるなぁー、って思いながら
席についた。




「昨日、大丈夫だった?」



声が聞こえる方を見てみると、



どこかで見たことある人……



でも、思い出せないの……



「…え?…………」



「覚えてねぇのかよ(笑)」



「へ?………」



誰か分からない人に声をかけられ、
訳がわからなかったの…。


「んまぁ…いいや………」



彼はそうつぶやき、教室を出ていった。



「………?」







ーーーーーー帰り道





「はぁ………」



今日は椿が用事があって一緒に帰れない…



だから、一人でトボトボ帰っている。



もうそろそろ、5時くらいかなぁ…と思っていると、


急に、誰かに声をかけられた。


「ねぇねぇ彼女~、一緒に遊ばない?」


「あの……む、無理です……」


「すぐ終わるからさ、ね?」



手首をつかまれて、逃げれない状態に…



「あの……離してくだ「おい、」


「あぁ?誰だ……お前まさか、神崎翔平か!?」


「あぁ、そうだけど」



「す、すいませんでした!!」



そう言ってその人達は去っていった。



「おい…大丈夫か?って泣いてんじゃねぇよ」


「……えっ?」


そっと手をあててみると雫が指先についていた


その時、ふわっといい匂いに包まれた。



抱きしめられたとわかるまで時間がかかった。



「えっっっ?!」