ｰｰｰキーンコンカーンコーンｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
始業チャイムが鳴り、慌てて席に着く｡
先生が入ってきて長いHRが始まる。
私は､麗桜中学校に通う中学2年生の早川新奈!!
そして、あたしの親友の花園 椿｡
小さい頃からの親友で、
名前の通り凄く美人なの!!
あたしは……なんの才能もない凡人…
「おい……何一人で百面相してんだよ」
隣りからきこえるこの声の主は、
照れくさいけど、
あたしの自慢の彼氏の神崎翔平君!!
中学生とは思えないくらいすごくかっこよくて、運動神経抜群、全国模試で2位、いわば王子様の彼は、女子からすごくモテるの…
だから
あたしなんかが彼女でいいのかな､
とか思っちゃう事がよくあって､
でも、あたしは翔平くんのことが
すっごい好きなの!!
だけど翔平くんは私のこと嫌いだと思う。
なぜなら
見ちゃったんだ……昨日……
教室で女の人と抱き合っているところ…
それだけじゃない...
最近、あたしが近くにいるのに
女の子とイチャイチャいている｡
極めつけは、私の誘いを断ったあの日…
偶然見ちゃったんだ…
帰り際に知らない女の子とキスしてたところ…
もう限界なの…
でも、もう少しそばにいさせて…
もう終わるから…
開放してあげるから…
「おい､無視かよ」
「ほえっ？」
突然話しかけられた私は、
思わずまぬけな声を出してしまった
「もうHR終わったけど？」
「えっっ？嘘？！」
「嘘じゃねぇーよ、ばーか」
あたし今バカにされた!?
無性に悔しくなってぷぅーっと拗ねていると、
「ごめんごめん」
っと笑いながら教室を出ていった。
「っっ……」
こんな事さえ愛しく思えるのは
翔平くんだから…
でも、きっと翔平くんの行動に愛はないんだ…
好きじゃないのなら、もうこれ以上あたし、を苦しめないで欲しい…
「にぃな……大丈夫？」
そう声をかけてれたのは、親友の椿。
付き合っているのを知っているのは
椿だけなの…
あたしの気持ちを知っているのも椿だけ。
「うぅっ…ｸﾞｽﾞｯ…もう嫌……ｽﾞｯ…」
「にいな…………」
本当は泣きたくなんてない。
泣いても翔平くんに迷惑なだけ…
でもとめどなく溢れ出すこの涙が、
わたしの想いを語っている。
私ってこんなに欲張りだったかな……
ごめんね……翔平くん……
