「あ!さっきのハンカチ拾ってくれた人だ!さっきは、どうも、ありがとう!!!」

そう彼女は黒崎に聞こえるくらいの声で言った。黒崎はこう返した。

「ああ、いいよ別に。」

「さっきも言ったけど、今度何かお礼させてね!!!」

「いや、さっきも思ったけど、オレあなたの名前すら知らないんですけど・・・」

そう黒崎が言うと彼女は少し大きめな声で言った。

「ああ!ごめんね、忘れてた!えへへへ。」

「わたしは、吉岡りん!!キミは?」

やっぱり声がでかい。

「黒崎隼人。」

「え、なに?栗崎くん?」

「黒崎だよ!」

「え、なに?山崎くん?」

「黒崎だって!」

「え、なに?国崎くん?」

「あーもう!!黒崎だって!!」

つい大きな声が出てしまい、クラスの皆の視線が一気にこっちに集まった。

「あ、ご、ごめん、大きい声出しちゃって・・」

そういうと、吉岡さんはクソでかい声で笑っていた。

「はいはい、わかりましたよー!黒崎くん」

やっとわかってくれたか。

正直めんどくさい、変わった子だというのが吉岡さんの第一印象だった。