「うわーーーーー！ありがとーーー！」

大げさすぎる言い方とでかすぎる声に黒崎はびっくりして少したじろいだ。

女子生徒はこう続けた。

「わたし、落としたハンカチを拾ってくれる人に会ったのはじめて！！！」

目を輝かせながら、彼女はそういった。黒崎は衝撃のあまり何も言えずにいた。

「今度また何かお礼するね！じゃあわたし友達が教室で待ってるから、バイバーーイ！！！」

そう言い残すと彼女は、疾風の如く走り去っていった。

「・・・お礼も何も、名前もクラスも携番も聞いてないし・・・」

それ以外にも、疑問に思ったことはたくさんあった。

ハンカチを拾ってくれる人に会ったのが初めてとはどういうことなのか。

なぜ初対面の自分にああも高いテンションで接してきたのか。

そんなことを考えながら、黒崎はその場に立ち尽くしていた。