《恋華side》



外は完全に冬の寒さになり、コートなしでは歩けないこの頃。


「寒い……」


かじかむ手を擦り合わせて歩く一人の通学路。


みーんな車で羨ましいなぁ……。


「今日も歩きか、チビ」

「え……伊月くんっ?車じゃないの?」

「別にお前がいたから降りてきたわけじゃねぇよ。たまに歩きたかったんだよ」

「こんな寒い日に……」


寒いせいか照れてるのか……よく分からないけど頬を赤く染める伊月くん。


もちろん、あたしも顔が赤いまま……。


どうしても伊月くんを見ると……思い出しちゃうんです……。


「まだ思い出してんの?そんなに俺とのこと記憶に残った?」

「そりゃあ……あたしのは、初めての……言わせないで!」

「初めてっつーか……アレ途中でやめてるからな?」


確かにそうだけど……


初めて経験したことにならないの!?