無駄に広いリビングでテレビを見てると、階段から走って降りてくる音。
「お待たせしましたっ!準備……バッチリです!」
「……遅いんだよチビ。ほら、行くぞ」
「頑張ったんだけどなぁ~……」
アイツの小さい手を握れば、ギュッと握り返してくる。
白い短めのワンピースをヒラヒラさせて、黒髪をポニーテールにして揺らす。
普通にかわいいし……。
「うわぁ~……空キレイ♪ほんとに水色!」
「お前そこかよ……。普通は海だろっ」
「海も透き通ってキレイだけど……空も負けてない!」
「不思議だなぁ~……チビ」
別荘の敷地から空と海を見渡す。
背伸びしても見える景色は変わらないのに、俺の手を握って背伸びをする。
でも、俺がハワイにコイツを連れて来たほんとの目的はこれから。