車内に響くリップ音にあたしは恥ずかしくなります……。


やっと離れた唇を満足そうに指で撫でる。


「リップ……塗り直した方がいいぜ」

「あ………は、はい…」



何事もなかった様な顔でまた車を走らせる。


結局あたしは伊月くんに仕返しなんて、できません!!


恥ずかしさで熱くなる頬を両手で覆い、少しだけ窓を開けてみる。


涼しい……。



「そろそろ着くから。寒くないようにちゃんとコート着とけ」

「はーい。……ここどこ?」

「そんな不安そうな顔すんなって!変な場所連れて行かねぇから」

「分かってるけどー…」


たまに車が2、3台通るような道。


時間も時間だからしょうがないけど……


ちょっと不安かもです……。