《恋華side》



履き慣れたパンプスの音を響かせ、伊月くんとの待ち合わせ場所へと走る。


3月の春の夜風があたしの長い巻き髪を揺らし、早く……と急かされてる気分になります。


今日はあたしの誕生日!


伊月くんに祝ってもらえるなんて幸せ♪



待ち合わせ場所は街中の駅前。


あたしが勤めてる神城グループの会社と、伊月くんの大学のちょうど中間地点にある駅。


「はぁ……はぁ…あっ、伊月くん…」


高級車に寄りかかりタバコを吸ってる横顔は、どこか大人びてて………。


同棲して毎日見てるはずなのにおかしいね…。



「伊月くん!お待たせですっ」

「遅い。イジメられる覚悟決めとけよ?」

「ええっ!でも…待ち合わせ時間10分前だよ~?」

「なに本気にしてんの?かわいい~」


あたしはいつも伊月くんに翻弄されるまま。


このカッコイイ笑顔が大好きなんです……。