《伊月side》



恋華をホテルに住ませて俺は、実家で父親の帰国を待った。


真剣に話すつもりでいるから。


あんなに仲良かった母親との離婚理由と、恋華とのこれからについて。



「伊月様…!」

「どうした?柳田」

「お父様がお帰りになられました。書斎に居られます」

「……今から行く」


帰って来たのは卒業式前日。


すっげーギリギリじゃんか………!



父親と話すだけなのに無駄に緊張してるバカな俺は、小さく書斎をノックした。


「俺だけど……入ります」


ガチャ───………


扉を開けると、相変わらず書類だらけのデスク。


椅子に座り俺に背中を向けている。


「伊月か……。少しは頭を冷やしたか?」

「どうゆう意味で?」

「そこまでバカに育てた覚えはないぞ」


目の奥が笑ってない父親の笑顔。


俺はバカじゃねぇ。


言葉の意味なんて分かってる。