クローゼットから制服を出して無駄に眺める卒業式前日のこと。
昼食を済ませてから珍しく、ホテルの扉がノックされた。
「はーい」
フロントの人かな……と思ったけど、目の前には珍しい人物。
「よっ。お久しぶり~恋華ちゃん♪」
「あ……や、大和くん!それに菫ちゃん!」
「久しぶり。パーティーの一件でお互い大変だったわね」
「菫ちゃーん!」
「ちょっとー……抱きつかないでよね?」
呆れた笑顔であたしの背中を擦ってくれる。
あたしと同じくパーティー会場から抜け出した一人。
菫ちゃんに会えた安心感でうっすら涙が出ちゃいます……。
「そう……明日が卒業式なの?早いわね」
「俺、菫に話したじゃーん!覚えといてよ!」
「もっと重要なことがたくさんあるのよ。一々覚えてられないの」
「ひっど。俺も恋華ちゃんみたいな女の子らしい彼女ほしかったな~……いって!」
「黙りなさいバカ」
二人の掛け合いを見てると自然と頬が緩む。
仲良しさがぐっと伝わってくる。
大和くんはラムネさんを抱きしめながら、思い出したように話す。