《恋華side》
高級ホテルでの生活は一切不自由ない。
美味しいご飯に大理石のお風呂……
贅沢過ぎる暮らしで毎日が今までと180度変わった。
伊月くんは近くにいないけど、ワンちゃんがいるから寂しくない。
楽しく暮らしてるよ。
「ラムネさ~ん。あたしと遊んでよ」
「ワンっ」
ワンちゃんの名前は『ラムネ』に決めた。
ボールを追いかけたりジャレたりする姿が、夏祭りに飲むラムネの炭酸のようにパチパチ激しく動くから。
ほんとに女の子か疑いたくなるほど元気いっぱいで安心!
「ラムネさん。ボール投げるね。……それっ」
「ワンワンっ!」
「ごめんね?あたしボール投げるの下手くそで……室内だしね~」
ラムネさんはもう一回とせがむように、あたしの目の前に口で噛んでたボールを落とす。
まだ買って1週間も経ってないのに、ピンクのボールの色がはげてきちゃった。
遠くを目指して、あたしはまたボールを投げた。