《伊月side》
2月になりまた恒例の俺の誕生日パーティーが開かれる、らしい。
父親がアメリカから帰国した。
「伊月。そしてその日は宮本グループの長女と籍を入れる日でもある。分かったな?」
「菫と結婚する気なんて、これっぽっちもありません。俺が愛し抜いたヤツと結婚します」
「はははっ……ふざけるのも大概にしろ。断固として反対だ」
自分の父親とは思えないほどの妙な威圧感に圧倒されそうになる。
それでも俺は屈しない。
恋華と一緒にいるって決めたから。
「誕生日パーティーが楽しみですね。……お父様」
「信念を一切曲げないところ……つくづくお前の母親にそっくりだ」
「母さんに……」
「お前がベッタリだった母さんに、だ」
“母親”って言葉に反応する……。
ダメだな俺も……。
振り向かねぇで前見るって決めた。
だから過去は引っ張らない……。