寒い風が緩やかに吹く中、あてもなく歩く。
だけど、ピタッと伊月くんの足が公園で止まった。
薄暗い公園は少し不気味………。
「伊月くん……なんで公園?」
「公園じゃねぇとダメなんだよ。寒いけど、すぐ終わるから我慢してな」
二人で錆びれたブランコをギコギコと漕ぐ。
寒いな……。
「恋華の就職先……俺の会社よりもいい場所見付けたんだよ」
「え!?どこですか……?」
「俺の妻になれよ。絶対クビになんてしねぇから安心だろ?」
照れくさそうに笑う伊月くんが、かわいくて……
あたしもつい頬が緩む。
そしてドキドキして身体中が熱くなる。
そんな時「ワンッ!!」と犬の鳴き声!?
小さなかわいらしい柴犬が伊月くんの元に飛び付く。
「ワンちゃんだ~♪かわいい!」
「同棲したら買ってやるって言っただろ。約束は守るから」
ギュッとワンちゃんを抱きしめて幸せさを噛みしめる。
悔し涙ではなく嬉し涙が頬を伝った。
ありがとう……伊月くん。