蒸し暑い日が射す放課後。
黒塗りの車が列をつくる中で、俺んちの車発見。
「お帰りなさいませ。伊月様」
「……あのさ、柳田。聞きたいことあんだけど…」
「なんでしょう?」
車ドアを閉める前に俺は専属執事の柳田に言う。
俺が物心ついた時からずっと世話になってる執事。
柳田にだけは何でも言えるけど、自分であとから言って恥ずかしくなった……。
「……この辺にバス停ある?」
全てを悟った顔をした柳田は静かに言う。
「では、本日はそちらを通ってご帰宅いたしましょう」
車で通ってないアイツ。
前にバスで通ってるって言ってたアイツ。
だから……俺のチビに会えるかもしれない。
なんで、わざわざチビ探してんだろ……俺。