久しぶりに吸う寒気が残る空気。
外ってこんなに寒かったっけ……。
でも、伊月くんと繋いでる左手だけはずっとポカポカ。
「どこ連れてってくれるの?」
「んー……決めてない。柳田いねぇから遠出は無理だな」
「じゃあ……あたしがリクエストしてもいいですか!?」
「どっか希望あるなら。あ、寒いところはナシな?」
「お散歩したいです!伊月くんと♪」
「俺、寒いところはナシって言ったよな!」
とか言いつつ、あたしと一緒に近所のお散歩をしてくれます。
俺様な伊月くんも嫌いじゃないけど、優しい伊月くんも大好き……。
マンションから歩いて10分程の距離に、小学生達で賑わう公園がある。
その公園に見覚えのある後ろ姿……。
「伊月くん……この道戻りたい…」
「……なんで?」
無視してあたしは手を引っ張った。
とても今は会えないかも……
中学の時に首席を争った同級生の女の子に。