「行きませんよ~……嫌だ……」
「お前、そのまま引きこもる気かよ。そんなの絶対許さねぇ!」
乗り気じゃない恋華を無理矢理に家から出してみた。
手は繋いでくれるものの、マンションから一歩も動く気配ナシ。
「もし……誰かに会ったら……進学先なんて言えばいいの?」
「正直に言えばいいだろ。プライドとかそんなの気にすんな」
「気にするよ!伊月くん……無神経です…」
泣きそうな声で、俺の手を離した。
む、無神経なんて言われたらさすがの俺もツライわ………。
表情に出てたのか、さすがに恋華は「ごめんなさい」って謝ってきた。
「……もういいです。気持ちだけで十分だから…」
「はぁ?恋華……」
今までエリート街道一直線で歩いて来た恋華にとっては、今回の挫折は計り知れないもの。
泣き顔じゃなくて笑顔がみたいだけ。
ただ、それだけなのにな……。