側にいないと落ち着かなくなる女って恋華が初めてだ。


アイツが困ってるところ想像すると、俺まで切なくなるっつーか………


過保護すぎんの?


俺がパンを食べると、視界に入ったのは教室の前で右往左往する桃たんこと夕陽ちゃん。


「翔大。桃たん来てるけど」

「あっ!夕陽~♪」

「桃たんて、めっちゃかわいくね?初めて見た時ビビったもん」

「あぁ。桃たんは普通にかわいい」

「あー!恋華ちゃんが帰って来たら言ってやろ♪」

「うぜー……」


俺にしたら桃たんの何万倍も恋華の方が、かわいいんだけどさ。



「はぁー!?マジかよっ!!」


静かな教室に響く翔大の怒鳴り声。


受験生の教室でこれはかなり迷惑だな……。


「伊月さん!大和さん!俺、ちょっと潰したいヤツらいるんでケンカして来る!」


……は?


ケンカ?


桃たんを見れば、半べそかいてプルプル震えてる有り様。


恋華のこんな表情見てぇな……


今はそんなんじゃないか。