若い男性は俺を視るなり一礼。
爽やかで女性社員からモテそうな感じ。
こんな若くして幹部クラスとはすごい……。
「澤野と言います。よろしくお願いしますね」
「……よろしくお願いします」
ニコッと笑った澤野さんに着いて行くと、また違うフロアを視察。
ん~……退屈。
「退屈でしょうけど我慢なさって下さい。これも社長の言い分ですので……」
「……社長の父親ってどんな感じなんスか?やっぱ冷徹?」
「いえ!私は……社長に感謝してますよ」
「へ~……そんな感謝されるような人物なんだ」
澤野さんは大きく頷いた。
俺は不服だ……。
「倒産寸前だった父の会社を引き取り、会社の幹部にまでして下さった……。感謝の気持ちでいっぱいです」
「仕事面はいいかもしんないスけど……。家庭面はヒドイから」
「仕事のためゆえでは?」
そうだといんだけどな。