《恋華side》
ジメジメした放課後の梅雨の季節。
伊月くんと知り合ったのもこれくらいの季節だっけ……。
あたしはピンクの水玉の傘を持って、うららちゃん、大和くん、伊月くんの4人で車を待つ放課後。
パーマが決まらないらしくご機嫌斜めのうららちゃん。
「もー最悪……。今日デートなのに…」
「デートって……薫さんと?」
「そう!お迎え遅いし!」
伊月くんの婚約者、菫ちゃんのお兄さん。
幸せそうな笑顔を見てると、あたしも伊月くんとデートしたいなって思ったりも……。
ちらほら降る雨の中、黒塗りの高級車があたし達の前に停まった。
「うらら。待たせてごめんね?」
「薫~♪会いたかった!遅いよ~!」
「ははっ、ごめん。ご飯奢るから許してな」
「ふふっ♪じゃあ、またね~!みんなっ」
ご機嫌が一気に上昇したうららちゃんに手を振る。
政略結婚で婚約者同士なのに薫さんとうららちゃんは幸せそう。