二人の間には重たい空気と沈黙がのし掛かる。


俺……どうしたらいいんだ……。


「……恋華……って言ったっけ?」

「恋華がどうした?」

「あの子……本当に伊月のこと好きなのね。だから、私は貴方と結婚できない」

「当たり前だっつーの。俺もお前と結婚するわけねぇだろ」

「私だって、大和と一緒にいたいのが……本気だしねっ」


菫は小さく笑って部屋を出てった。


俺はなにがなんでも父親の決めたルートには行かない。


恋華とずっといるためにもそうしなきゃねぇから。


何があっても、守ってやらなきゃないし側にいてやらねぇとダメなんだよ。


……こんなこと本人には言えないな。


もう少しだけ素直になれたら……なんて思ったのは初めてだ。