《伊月side》



誕生日パーティーから数日して、もうすぐ3月になろうとしていた。


2月ってこんな寒かったっけ……。


朝の学校の廊下を歩いていれば、また女達に囲まれる。


はぁ~………苦痛。


「おっはよ~♪いーつーきっ!」

「大和は朝から元気で羨ましいな……」

「何事にもポジティブにねっ♪」


ケラケラ笑って俺の机に座ってる大和。


でも………なにか隠してるような……そんな笑い方。


「回りくどい笑い方すんな、気持ちわりぃ」

「ひっでーなー伊月。感は鋭いしよ~……」


大和は表情が見えない様に、座ったまま背を向けて小さく呟いた。



「菫にフラれた……」


何事も明るい大和の初めて見た寂しい背中。


俺は話を聞いてやることしか出来なかった。