トイレからパーティー会場に戻ると、焦った顔であたしに抱きついてくるうららちゃん。


「もー!どこ行ってたのよ~!何回もケータイ鳴らしたのよっ!」

「嘘!?……ごめんね、電源切ってた……。トイレ行ってただけだから大丈夫だよ」

「遅くて心配したんだから~!」

「ははっ………ごめんね!……いった!」


あたしは頭をペシッと軽く叩かれた。


振り向けば、伊月くんがイライラした表情で………。


これは怒られるー………。


「一人でどこフラフラしてんだよバーカ。変な心配掛けやがって……」

「ご、ごめんなさい……」

「そうだよ恋華ちゃん。彼氏を心配させちゃダメだからね」

「あっ、えっと………」


あたしの頭をくしゃっと撫でる伊月くんの横で優しく笑う色気のある男性………


クリスマスの日に会ったうららちゃんの彼氏さん!


「薫にも探してもらったの~!はぁ、無事でよかった♪」

「ほんとお前めんどくせ~」

「まぁまぁ、伊月!良かったじゃないか」


今のあたしには恋の枷とか……難しいことは分からない。


ただ、もう少し伊月くんと幸せな日常を送らせて下さい……。