話が終われば、俺は父親と挨拶周りに行かなきゃない。


前のクリスマスほど人数は多くないから、すぐ終わるだろ……。


「じゃ、恋華。うららちゃんの側から離れんなよ。分かった?」

「うん。待って伊月くん!」


そう言ってアイツが小さなカバンから出したのは、黒のブレスレット…?


「お誕生おめでとう……そのっ、お店で特注して作ってもらったの!気に入ってくれる、かな…?」

「ふーん……そこそこ気に入った。もらっとく」

「よかった~……挨拶周り頑張ってね!」

「……ありがと」


アイツの前髪をくしゃっと上げて、軽く短いキスをする。


ブレスレットを付けると、言葉で表しようのない感情が込み上げてきた……。


『嬉しい』


ただ、その感情しか分からない。