元々、恋華とここのホテルの最上階泊まる予定だったからちょーどいい。
きっと薫さんから聞いたんだ。
婚約者のこと。
「……ホテル泊まるんですか?」
「帰んのめんどくさいじゃん。それに……話すから。ちゃんと」
「はい……」
部屋に入るなり、ソファーに座って俺の顔をジーっと見てくる。
すぐ話せってことだな、これ。
「伊月くん。……婚約者ってほんとの話ですか?」
「ほんとだよ。俺には婚約者がいて、このままだったらそいつと結婚する予定」
「……やっぱり……あたしは遊びなの?」
「ちげーよ!お前は俺の本気の相手だ」
そう言ってもどんどん沈んでく恋華の顔。
そして、とうとうポツリと涙をピンクのドレスに溢した。
泣かせたいわけじゃない。
ただ、一緒にいて笑ってたいだけなのに俺はコイツを悲しませた。