そのまま各社長に挨拶周りを続けていると、一番会うのが気まずい人物。
俺の婚約者がつまらなさそうな顔で、隅っこに立ってた。
「来てたんだ……お前」
「そっちこそ。わざわざ気使って私のとこ来なくてもいいのに」
「婚約者としての建前」
「……私達本当に結婚するのかしら?」
その質問には何も答えなかった。
ストレートの黒髪ロングでいかにも大和撫子って感じの女。
宮本菫(Miyamoto Sumire)は俺達と同い年の婚約者。
まぁ、婚約者って言っても菫にも彼氏はいるらしい……
「あ、来た」
「ごめん!ほんっとにごめんね!菫!」
「女を何時間待たせるつもり?大和のバカ」
「おー!伊月!やっぱりお前も来てたか~!」
「お、おう……」
菫の彼氏は俺のすっげー身近な友達でした。