《伊月side》



あぁー………本気でめんどくさいってこの事言うんだな。


知らねぇ会社の社長にペコペコ頭下げて、愛想笑いで話す。


しょうがない。


これも、恋華とパーティーに出席するための父親との約束。


“うちと少しでも関わりのある社長全員に挨拶して来い”


全員同じおっさんにしか見えなくなってきた……。


「いや~伊月くん!立派になったねぇ!うちの娘の婚約者にどーだい?」

「すいません。もう先約がいるんです……」

「それは残念だねぇ~」


はぁー………心がクタクタだ。


さっき、チラッと恋華を見ると俺の婚約者の兄貴の薫さんと話してた。


変なこと言われてなきゃいいけど………


主に婚約者のこと、とか。


別に隠してたわけじゃねぇけど、恋華に伝える機会がなかっただけ。


嫌な予感すんな……。