それにしても……伊月くんの婚約者が気になります……。


そんなこと一回も話してくれなかったのに……。


お金持ちの世界は複雑ですね。


それになんであたしは、ここに連れて来られてるのか……。


伊月くんに聞きたいことたっくさんある。


「ふぅ~………お金持ちも疲れるね…」


馴れない環境での疲れで、つい場に似合わないため息を溢してしまう。


そんなあたしの頭を大きくて優しい手の平がポンポンと撫でる。


「もう少し頑張れ。悪いな……」


伊月くん!!


バッと振り向けば、もう別のお偉いさんと愛想笑いで話してた。


伊月くんはあたしのこと遊びなんかじゃないよね?


信じても良いよね?


あたしは……大好きなので信じます。