おまけ




「そういえば、昨日麗と一緒にいた男って誰なの?」

「男…?」

私と話す男の人なんているはずが……

「……あ」

もしかして、

「それ、お兄ちゃんかも」

「え」

昨日、ここに来たんだよね。

私がお弁当忘れちゃったから。

「お兄さん…?」

「そう。お兄ちゃん。1つ上の」

「うわー…マジか」

昨日の俺の焦り…、なんて落ち込んでいる明がなんだかかわいくて、笑ってしまう。

「私は嬉しいけどな」

「え、なんで?」

「…そのおかげで、こうして一緒にいられるでしょう?」

明が私を好きだって自覚したのって、お兄ちゃんのことを勘違いしたから。 

もしそれがなければ、私の気持ちも彼の気持ちも、わからないままだったかもしれない。

「…そっか」

私を愛おしげに見つめるその瞳も、私の名前を何度も呼ぶ声も、私を力強く抱きしめる腕も、全部、知らないままだったかもしれない。

「お兄さんに感謝しなきゃだね」

「そうだね。お兄ちゃんさまさまだね」

笑いあうことの嬉しさを知った。

抱き合うことの幸せを知った。

重なる唇に、彼の愛情表現の仕方を知った──





「愛してるよ、麗」

「…私も、愛してる」

私も表現してみるよ。

私も明を愛しているから、伝えたい。

微笑んでいる彼の唇に、自らのそれを押しつけた。

顔を赤くしてまた笑う明。

でも、まだまだ足りないよ。

また明への無限の愛しさを伝えるには、どうしたらいいんだろうか──?




おまけ end