「仕事はどうすんのよ!?」

「―辞めた―」

全身の力が抜けてへなへなとしゃがみこんだ。
つくりかけのカレーも、もうどうでもいい…。

―また?

去年は桜前線追っかけて日本縦断するためにバイト辞めて―
おととしはインドでバックパッカーやるために2年勤めたデザイン事務所あっさり辞めて、
―今度の出版社、小さいけどすごく苦労してはいったのに…

「撮りたいもんがあるんだよ。どうしても。」

「…どのくらい行くつもり?また気がむくまでいるつもりなの?」

「今度は本ゴシ入れてやりたいんだよな。もうアパートも引き払うことにしたし。3年くらいはあっちで暮らす。」