「―ふぅ…」

ｿﾌｧにうつ伏せに倒れこむｱｲ

飲みすぎたあ…

渋谷区桜丘の一戸建てに、ｱｲは両親と共に暮らしている。
ｱｲには4つ年上の姉がいるが、一昨年ｲﾍﾞﾝﾄ関連の仕事をしている青年実業家と結婚。一人娘も産まれ、今は一駅離れた、恵比寿のﾏﾝｼｮﾝに暮らしている。

年こそ4つ離れているものの、ｱｲと姉のﾕﾘとは友達のように仲が良く、一緒に暮らしていたころは、互いの部屋に行き来し、夜中までｶﾞｰﾙｽﾞﾄｰｸに明けくれていた。

―こんな夜に、ﾕﾘちゃんがいたら…

幸せな結婚をしたﾕﾘをおもうとき、ｱｲは自分自身の将来を考えずにはいられない。

―いつか、ﾕｰｲﾁと結婚する日がくるのだと思っていた。
今はﾌﾗﾌﾗしているけど、ﾜﾀｼとのことをちゃんと考えているんだとｺｺﾛの奥で信じていた…

―あと少し信じてまてば良かったのかもしれない、そうしていたら…！

ｱｲの瞳から涙がとめどなく流れていた。

ｿﾌｧに顔を押し付けて、寝ている両親を気にしながらも、ｱｲはいつの間にか、子供のように泣きじゃくっていた。

失ったﾕｰｲﾁの存在の大きさを、今改めで感じていた。