「駅につくと、ホームに女の子がうつむいたまま動かない。
―泣いてんのかなって思った。
酔っぱらいかよ、俺みたいでヤダなって…」

「…」

「そしたら、次の瞬間。顔上げてにっこり笑うじゃないか。」

「それ…アタシ…ですよね…変だと思ったんでしょ」

「かっこいいって思った。凛として。」

「…!…」

「なんか…
―あの笑顔みたら、俺も救われたんだ。
小さいことでクヨクヨすんなーって…

―ありがとう」

「そんな…大げさな…」
ドキンと胸をうつ
リョウジの耳に届くほど大きく―

「いや…俺には…すごく…
今日は本当におどろいたよ。こんなことあんのかって…酔ってんのかな…
…酔ってるな、俺も。

―あの時、君の笑顔に
“見た”気がしたんだ。」
「“見た”って何を…?」